淀川べりにたたずむ豪邸
めぐみ奥様の寝室は、夕暮れの名残をわずかに含んだ薄明かりの中に沈み、
卓上のランプだけが、三島由紀夫『愛の渇き』の頁を淡く照らしていた。
奥様は、読書というよりも、むしろその活字の奥に潜む影をそっと指先で探るような心持ちでいたのである。
そのとき、静寂を破るように、廊下の向こうから、かすかな衣擦れの音が忍び寄った。
ご主人に絶対忠実のメイドのまりなが入室してきたのであった。
完璧な仕草で扉を閉めるその姿は、奥様の胸に、言いようのないざわめきを呼び起こす。
旦那様が雇い入れたこの若いメイドは、家事の一切を滞りなくこなし、奥様の生活を支えるはずの存在でありながら、その完璧さゆえに、奥様の心には微かな嫉妬の影が落ちていた。
まりなは深く頭を下げ、「奥様、失礼いたします」と、まるで風のように控えめな声で告げた。奥様は本を閉じ、
「どうしたの、呼んでいないわよ」
「ご主人の命令で参りました。私と奥様とのSMショーをご覧になりたいそうです」
まりなはトランシーバーのようなものを手にしている。
「あなた何言ってるの」
「始めさせていただきます」
メイドは奥様の腕を背中に捩じり合わせ縄を巻き付けていきます。
「ちょっと、あなた何するのよ!」
あっという間に緊縛が完成すると、まりなはトランシーバーで報告、そして
「御主人の命令ですので、口をふさぎます」
奥様の悲鳴はくぐもった呻きとなり、メイドによる愛撫が始まる。
さらにご主人から指令が来たようだ。
「えっ? そんなことまで あっ申し訳ありません。直ちに」
と言って、下半身にも縄を這わせた。又縄をかける。
さらに次の指令に応えて、寝室の片隅に立てかけられていた蝋燭を手に取り、奥様の上半身にロウをポタポタ落とし始めた。
「これがご主人の奥様に対するお気持ちだそうです。羨ましいですわ」
奥様の上半身には赤くハートのマークが描かれていた。
『愛の渇き』は潤されたのだろうか。
めぐみ奥様の寝室は、夕暮れの名残をわずかに含んだ薄明かりの中に沈み、
卓上のランプだけが、三島由紀夫『愛の渇き』の頁を淡く照らしていた。
奥様は、読書というよりも、むしろその活字の奥に潜む影をそっと指先で探るような心持ちでいたのである。
そのとき、静寂を破るように、廊下の向こうから、かすかな衣擦れの音が忍び寄った。
ご主人に絶対忠実のメイドのまりなが入室してきたのであった。
完璧な仕草で扉を閉めるその姿は、奥様の胸に、言いようのないざわめきを呼び起こす。
旦那様が雇い入れたこの若いメイドは、家事の一切を滞りなくこなし、奥様の生活を支えるはずの存在でありながら、その完璧さゆえに、奥様の心には微かな嫉妬の影が落ちていた。
まりなは深く頭を下げ、「奥様、失礼いたします」と、まるで風のように控えめな声で告げた。奥様は本を閉じ、
「どうしたの、呼んでいないわよ」
「ご主人の命令で参りました。私と奥様とのSMショーをご覧になりたいそうです」
まりなはトランシーバーのようなものを手にしている。
「あなた何言ってるの」
「始めさせていただきます」
メイドは奥様の腕を背中に捩じり合わせ縄を巻き付けていきます。
「ちょっと、あなた何するのよ!」
あっという間に緊縛が完成すると、まりなはトランシーバーで報告、そして
「御主人の命令ですので、口をふさぎます」
奥様の悲鳴はくぐもった呻きとなり、メイドによる愛撫が始まる。
さらにご主人から指令が来たようだ。
「えっ? そんなことまで あっ申し訳ありません。直ちに」
と言って、下半身にも縄を這わせた。又縄をかける。
さらに次の指令に応えて、寝室の片隅に立てかけられていた蝋燭を手に取り、奥様の上半身にロウをポタポタ落とし始めた。
「これがご主人の奥様に対するお気持ちだそうです。羨ましいですわ」
奥様の上半身には赤くハートのマークが描かれていた。
『愛の渇き』は潤されたのだろうか。